地方債ETF対決:フィデリティのFBNDとiSharesのMUBの利回りと税制優遇の比較

債券からの収益を生み出す投資を評価する際、地方債ETFの選択肢を比較するには、見出しの数字だけでなく、その背後にある要素も考慮する必要があります。フィデリティのトータルボンドETF(FBND)とiSharesのナショナル・ミュニシパル・ボンドETF(MUB)は、それぞれ異なる投資哲学を反映しており、投資家の優先事項に応じて選択肢が分かれます。税効率性、配当の可能性、リスクプロフィールの違いを理解することが、どちらのETFが自分の資産形成に適しているかを判断する上で重要です。

高い配当利回りと低コストのトレードオフ:利回り対手数料の比較

この二つのファンドの最も顕著な違いは、投資の古典的なトレードオフである「収益性」と「運用効率性」にあります。FBNDは4.7%の配当利回りを提供し、MUBの3.13%を大きく上回っています。これは157ベーシスポイントの差です。2026年1月25日までの過去12か月の総リターンを見ると、FBNDは2.6%に対し、MUBは1.22%となっています。

しかし、この利回りの差にはコストも伴います。FBNDの経費率は0.36%に対し、MUBはわずか0.05%と、7倍の差があります。大きな資産を管理する投資家にとって、このわずかな割合の差も長期的には大きな差となって積み重なります。MUBの方がよりシンプルな構造を持ち、狭い範囲の地方債に集中しているのに対し、FBNDはより広範な債券を対象とし、その運用規模の違いが手数料の高さに反映されています。

また、FBNDの高いパーセンテージの利回りにもかかわらず、現在のところMUBの株主はより多くのドル配当を受け取っています。これは、MUBの株価がFBNDの約2倍であるためです。この点は、実際のキャッシュ配当と利回りのパーセンテージを比較する際に重要です。

債券保有内容の内部構成:企業債と地方債の信用格付けの違い

両ファンドの内部構成を見ると、根本的に異なる投資戦略が見えてきます。FBNDは4,459の債券を幅広く保有し、そのうち67%が最高格付けのAAAです。これは、デフォルトリスクが最も低いとされる格付けです。しかし、同時にBBB格付けの債券に最大20%を配分しており、信用リスクを受け入れつつ高い利回りを追求しています。

一方、MUBは6,163の地方債を保有し、米国政府発行の債券には一切投資していません。約61%がAA格付けの債券で、残りはAAAとA格付けの債券に均等に分散しています。この構造は、高品質な地方債に集中し、FBNDに見られる低格付けの債券を避ける戦略を反映しています。

重要なポイントは、FBNDが企業債やエネルギーセクターの債券に偏重しているのに対し、MUBは純粋に地方債に特化していることです。この違いは、リスクとリターンの特性を大きく変え、信用サイクルの動きにも異なる影響を与えます。

地方債ETFの税制優遇:州・連邦の免税について理解する

ここで最も魅力的な理由は、MUBのような地方債ETFを検討すべき最大の理由です。地方債の利子所得は、通常、連邦所得税が免除されるだけでなく、居住州の所得税や地方税も免除される場合があります。高所得層や高税率の州に住む投資家にとって、この免税措置は、FBNDの表面上の利回りの優位性を大きく上回ることがあります。

例を挙げると、FBNDの4.7%の利回りは一見するとMUBの3.13%より優れていますが、24%の連邦税率の投資家は、実質的な税引き後の利回りが約3.57%に下がります。一方、MUBの3.13%は、州の発行する債券に居住している場合、そのままの利回りを享受でき、税制優遇の効果が相殺されることなく、競争力のあるリターンとなります。特にカリフォルニアやニューヨークのような高税率州に住む投資家にとっては、地方債の税制優遇のメリットは非常に大きいです。

FBNDの高い利回りは、企業債や課税対象の政府債から来ており、すべての所得が普通の連邦所得税の対象となります。この構造の違いを理解せずに単純に利回りだけを比較するのは誤解を招きやすいため、自身の税状況を考慮することが重要です。

長期的なリスクとリターン:パフォーマンス比較

2026年1月25日までの5年間のパフォーマンスを見ると、投資額1,000ドルあたりの成長には差が出ています。MUBは922ドルの価値を生み出し、FBNDは862ドルとなっています。これは、2022年の下落からの回復過程において、MUBの方がより良いリカバリーを示した結果です。

また、市場のストレス時においても、MUBはより低いボラティリティを示しています。最大の5年間のドローダウンは11.88%であるのに対し、FBNDは17.23%と、価格変動の激しさが抑えられています。ベータ値は0.24と低く、市場全体の動きとの相関も弱いため、株式市場の動きに左右されにくい特性があります。一方、FBNDのベータは0.29で、やや株式に近い動きを示し、企業債の比重が影響しています。

債券市場の回復は緩やかで安定的なものであり、急激な上昇は期待しにくい状況です。もし、連邦金利の急落など予期せぬきっかけがあれば、既発債のクーポン金利が高いため、債券価格は逆に上昇します。

どの地方債ETFがあなたのポートフォリオに適しているか?

これらのファンドの選択は、あなたの個別の状況や投資目的によります。**税制優遇を重視する収益追求者には、MUBが魅力的です。**特に高税率の州に住む場合や、税引き後の実質リターンを重視する場合、地方債ETFの税制優遇は大きなメリットとなります。低い経費率も長期的なリターンを高める要素です。

一方、**最大の利回りを追求する投資家にはFBNDが適しています。**税率が低い退職後の税負担軽減や、絶対的な利回りを重視する場合、企業債や低格付け債を受け入れるリスクを許容しながら高い収益を狙う戦略が有効です。

債券ETFは株式ETFとは異なる性質を持つことを理解することも重要です。債券市場の回復は始まったばかりであり、安定した収入と資本保全が今後も重視される局面です。FBNDの高収益志向か、MUBの税効率重視か、自分の税状況とリスク許容度に合った選択を心がけましょう。

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