航運株の株価サイクルの変動が顕著に 大型船会社は注目に値するか?

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航運産業のコアな職能は、海上輸送を通じてグローバルサプライチェーンをつなぐことであり、原材料、半製品、完成品を世界中に配送する責任を負っています。国際貿易の円滑さは、航運企業の業績に直接影響します。

航運株の株価の歴史的な周期性

過去10年以上にわたり、航運セクターは何度も激しい変動を経験しています。世界経済が拡大し、国際貿易が活発なときは、航運株はしばしば上昇サイクルを迎えます。しかし、経済が後退したり不確実性が増すと、貨物需要が急落し、航運株の株価も下落します。

具体的には、2015年から2016年にかけて、世界経済の低迷と過剰な生産能力により、航運市場は低迷しました。2020年のパンデミック発生初期には、航運企業は破産の危機に直面し、株価は大きく打撃を受けました。しかし、各国が防疫措置を解除し、世界経済が回復するにつれて、航運株は力強い反発を見せました。

しかし、この反発は2022年以降次第に失速しました。世界最大の船運企業であるMaerskの例では、2022年初にピークを迎えた後、時価総額は約60%も下落しました。ドイツの大手航運会社Hapag-Lloyd AGの時価総額も、2022年末の高値から約70%近く後退しています。

航運株の下落と業績悪化は密接に関連しています。Maerskの四半期売上高は、2022年のピーク時の2276.7億ドルから、2023年第2四半期には130億ドル未満に減少しました。同時期の四半期純利益も、88.79億ドルから14.53億ドルに半減し、83%の下落を記録しています。

上場航運株の企業一覧

世界の主要な航運企業の中には、多くが未上場の企業であり、一般投資家は参入しにくい状況です。しかし、米国株や台湾株市場には、多くの主要な船運企業があります。

Maersk(AMKBY):1904年設立のデンマークの老舗企業で、米国株の粉末市場で取引されています。130か国で事業を展開し、年間輸送貨物額は約6750億ドル、総積載量は418万標準箱に達します。

Hapag-Lloyd(HPGLY):1970年設立で、こちらも米国株の粉末市場で取引中。世界約600の港でサービスを提供し、運力は180万標準箱です。

東方海外(OROVY):1947年創業で、中国遠洋海運集団の子会社。150隻以上の貨物船を所有し、積載能力は1000万トン超。米国株の粉末市場で取引されています。

長榮(2603):台湾の航運大手で、200隻以上のコンテナ船を所有し、総運力は166万標準箱。主に遠東からアメリカ、北欧、東地中海方面の航線を運航しています。

陽明(2609):台湾の国内船運企業で、世界の170港以上でサービスを提供し、70万標準箱以上を取り扱います。

航運株の今後の動向は多くの要因に依存

経済回復のポジティブな推進要因:米連邦準備制度理事会(FRB)は継続的な利上げにより、世界経済の拡大を抑制しています。米国のインフレが正常化に向かうにつれ、連邦基金金利は段階的に引き下げられる見込みであり、世界経済は息を吹き返す可能性があります。これにより貨物需要の回復が期待されます。

サプライチェーン調整の二面性:西側諸国はサプライチェーンの国内化や近隣化を加速させており、多くの産業が中国からメキシコなどへ移転しています。これにより、遠東から北米・欧州へ運航する主要な航運企業(長榮や陽明など)は打撃を受ける可能性があります。一方、航路分散型のMaerskは比較的影響を受けにくいと考えられます。

エネルギーコストの不確実性:地政学リスクの高まりにより、原油価格の変動が激化しています。ロシア・ウクライナ戦争や中東情勢の緊迫化により、油価が上昇し、航運企業の利益を圧迫する可能性があります。

環境規制の競争と差別化:世界的な炭素排出規制の強化により、航運業のグリーン化が求められています。規模の大きい企業はコストを抑えて環境基準を満たしやすく、市場での地位を強化します。一方、中小の船運業者はコスト負担が増大し、競争が激化します。船隊の平均年齢が若い企業は、環境規制への適応において有利です。

航運株投資の実践的なアドバイス

上記の分析を踏まえ、投資家には以下の戦略を推奨します。

大手のリーダー企業を優先:時価総額100億ドル超の航運大手は、景気低迷期においてもリスク耐性が高く、規模のメリットを活かしてコストを抑えられます。

小型船運株は避ける:航運セクターはマクロ経済に敏感であり、規模の小さな企業は景気循環を乗り切るのが難しいです。

遠東航線の専門企業には注意:長榮や陽明など、遠東-欧米航線に依存する企業は、サプライチェーンの再構築の影響を受けやすく、成長性に制約があります。

船隊の若さに注目:新造船の比率が高い企業を優先的に選び、将来の環境規制への適合リスクを回避しましょう。

サイクルの底値を狙う:航運株は明確な景気循環性を持つため、長期的に底値圏で段階的に買い増し、長期保有を心掛けることが重要です。タイミングの見極めが、銘柄選択よりも重要です。

まとめ

航運株の株価動向はマクロ経済の影響を大きく受けており、長期的な視野を持った投資が求められます。銘柄選択の際は、企業規模、リスク耐性、航路の多様性を優先すべきです。地政学リスクやエネルギー価格、環境規制の変化が続く中、大型でグローバル展開を行う航運企業に注目が集まっています。投資家は経済サイクルや業界の基本的な動向を注視し、底値で仕込み、次の上昇サイクルをじっくり待つことが重要です。

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