イーサリアムについて話すと、多くの人は価格の上下ばかりに目を向けがちだ。しかし本当に考えるべきなのは、「まずユーザーを集めてから通行料を取る」というやり方だ——これは実はインターネットプラットフォームの戦略と同じロジックだ。

初期はどうするのか？Layer2拡張に重点的に投資する。Rollupなどの技術は、要するに手数料を下げ、取引速度を上げるものだ。これでDeFiやNFTなどのプロジェクトやユーザーを引き付ける。エコシステムが成長し、メインネットのTPSが向上すれば、後には決済や大型資産清算といった本格的なニーズも自然に受け入れられる。この戦略は、かつてのアリペイが「無料で流量を集め、後から付加価値サービスで稼ぐ」とした発想と全く同じだ。

では、ETHの価値の下限はどこにあるのか？TVL(（総ロック資産量)）を見ればよい。ユーザーがあるエコシステムに慣れてしまえば、プラットフォームが多少手数料を上げても受け入れられる——これが「流動性の潤滑」だ。そしてエコシステムが繁栄すればするほど、TVLが高ければ高いほど、ETHの評価の下限はより堅固なものになる。

さらに30年先を見据えると、もしステーブルコインの規模が3兆ドルに達し、RWA(（現実資産のオンチェーン化）、例えば不動産債券)などが20兆ドル規模になれば、イーサリアムは手数料収入だけでも最低でも3兆ドル規模の時価総額と比較できるようになる。米国株のトークン化や現物資産のオンチェーン化といった新たなユースケースが動き出せば、TVLと手数料収入の上限が一気に引き上げられるだろう。

イーサリアムが今やっていることは、本質的には「通貨決済レイヤー」の地位を争っているのだ。決済ツールから清算ネットワークへの進化、この道筋こそが長期的な価値の鍵だ。エコシステムの拡大は単なるストーリーではなく、今後数十年このチェーンがどれだけの資金規模を担えるかを直接決定するものなのだ。